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パートI:外国人に対する米国での課税 パートII:税務申告書の仕組み
2016年度:想定Q&A
所得は基本的には全ての所得を計上
REPORTING OF ALL INCOME REQUIRED (TAX COMPUTATION)

 では最初にある「所得」としては何をあげるのですか?

 この書式を使用するのは年間を通しての米国市民・居住者ですから、前にご説明しましたように、その年の「全世界所得」をあげることになります。

表の中に羅列されていますが、皆さんに関係するのは最初にある給与などの「勤労所得」(earned income)、それから受取り利子、配当金などの「不労所得」(unearned income)、自営業をしていた人あるいはサラリーマンのかたわらフリーランスをしていた人が計上する「自営業損益」(self-employed business income)、株券などの「キャピタル資産売却損益」(capital gain or loss)、不動産などの「賃貸損益」(rental income or loss)、それから「年金・社会保障の支給受取り」(pension or social security benefits)、「失業保険受取り」(unemployment compensation)などの項目かと思われます。

変わった所では「受取り離婚手当」(alimony received)というのもあります。 後で説明します所得調整に「支払い離婚手当」(alimony paid)というのがありますが、これと対をなしています。

また宝くじ、競馬、賭事などで当たった賞金は「その他の所得」(other income)としてあげます。米国「外」に居住し勤労所得があった米国市民・居住者は「勤労所得」にその金額を含めますが、「海外勤労所得控除」(foreign earned income exclusion、最高で$101,300)を取ることができ、その控除額を「その他の所得」の箇所にマイナス表記で記入します。

 税率の動きはどうなっているのでしょうか?

 2013年に最高税率が39.6%に上昇しましたが、2015年もこの最高税率39.6%は継続しています。(夫婦合算で申告する場合は、$466,950以上の所得が該当。) 更に、この最高税率39.6%が該当する納税者については、キャピタルゲインに対する税率が15%から20%へと引き上げられています。

 キャピタルゲインについて、もう少し詳しく教えて頂けますか?

 典型的なキャピタルゲインとしては、株券や債券の売却益があげられますが、長期キャピタルゲインに対する税率は、1997年5月6日以前は28%の税率だったのが、1997年5月7日以降は20%(低所得の場合は10%)となり、これが2003年5月6日以降は更に15%(低所得の場合は5%に低減)へと大きく削減されました。更に、2011年以降は、10%あるいは15%の所得税率の該当者の場合はゼロ%の税率となっています。高額所得がある個人(2016年については夫婦合算者で$466,950以上の所得)については、最高税率が2013年から20%に差し戻されました。

「長期」であるためには、以前は18ヵ月以上の保有が必要でしたが、1998年1月1日以降の売却については1年超の保有に短縮されています。

税率ですが、美術品・貴金属・骨董品などの「収集品」については15%あるいはゼロ%の低減税率が適用されず、28%の税率が一律に適用となります。

また、賃貸など事業使用不動産の売却益のうち、1997年5月7日以降に控除した減価償却に対応する金額迄は25%の税率が適応されます。

 2016年についていえば、キャピタルゲインに対する税率はどうなっているのでしょうか?

 先ほど説明しましたように2013年から高額所得者については税率が15%だったのが20%に増加したのが加わりましたので、28%、25%、20%、15%、0%の5種類あることになります。

 主たる住居の売却に対する課税についても、説明して下さい。

 1997年の税制改定がある前は、主たる住居の売却益について、二つの優遇措置がありました。

一つは、自宅の買換えで売却益が出ても、売却代金よりも高い額で次の自宅を2年以内に購入していれば、この売却益は繰り延べられる、というものです。

もう一つは、もし売却時に55歳以上で夫婦合算申告者ならば、一生に一回ですが住居の売却益は12万5000ドル迄は非課税、とするものです。

これが、1997年税制改正によりいわば一本化されて、1997年5月7日以降の主たる住居の売却益は、売却前5年間の内少なくとも2年以上は主たる住居として使用していたならば、夫婦合算申告者については50万ドル、その他の申告者については25万ドル、迄を「非課税」とすることが出来ます。

この新しい規則は一度の適用に限られず、適用した後また2年経てばまた何度でも適用することが出来ます。但し、2009年以降に不適格使用nonqualified useがあった場合、つまり賃貸など主たる住居として使用されなかった場合は、売却益 X 2009年以降の不適格使用の期間/住居の保有期間=不適格売却益として計算し、その不適格売却益の金額は非課税の対象から外れることになります。(即ち、不適格売却益については課税対象となります。)

 もし50万ドル差し引いても益がまだ出てしまう場合、税金の額はどう計算するのですか?

 50万ドルを超過した益であるキャピタルゲインについては原則としては税率15%を適用して算出します。

但し、過去に貸家をしていて減価償却していた場合は、1997年5月7日以降の累計償却相当額迄の益に対しては25%の税率で計算しなければなりません。

 収入、つまり所得というんですか、収入について他に何か注意点はありますか?

 はい、所得の申告漏れがないよう気をつけて頂く必要があります。

漏れて報告していると米国の国税庁にあたるIRS(アイアールエス、Internal Revenue Service)が勝手に申告漏れの数字を足して再計算し、不足税を支払えというノーティスを送りつけてくることがよくあります。

これはマッチングといって給与源泉徴収票W-2、その他報酬・利子・配当などの支払い調書1099(通称テンナインティーナイン)などの支払い調書のコピーがIRSの方にも行っているため、漏れていると分かってしまうからです。

パートナーシップ、LLC、S法人へ投資をしている方に対し、各人相当分の配分所得を記載したK-1という書式が発行されますが、近年IRSはそのK-1と本人の税務申告とのマッチングも強化しております。

職場での福利厚生など税務上は所得としてあげなくても良いものを除き、所得に関しては税務上の規則は大変に厳しく、税法の上では違法所得でも税務の上で申告すべき所得であるとされています。因みに、その昔ギャングの大親分であったアル・カポネAl Caponeは違法所得を申告しなかった罪で有罪となりました。

 私は5月の赴任以後は日本にある家を他人に貸していますが、これはどうすれば良いのでしょうか?

 赴任以降は米国居住者ですから全世界の所得が課税対象となり、赴任以降の日本での賃貸損益も報告する義務があります。

表3の中の「不動産賃貸損益」に該当しますが、勿論賃貸に関わる経費を差引いたネットの所得を報告します。前にもご説明しましたが、米国市民・米国居住者は全世界の所得を申告する義務がありますから、日本の賃貸もそれが損失であっても申告する必要があります。殊に日本で代理人の不動産屋から支払い調書が出ていると、情報交換でこちらのIRSへそのコピーが廻っていることがありますから、要注意です。

但し、11月に赴任された上司の方のように年間を通して米国非居住者として税務申告する場合、日本での賃貸活動は米国外の活動ですから2016年については損益に関わらず報告する必要はありません。

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