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2016年度:想定Q&A
現状では代替ミニマム税(AMT)はイカサマと化している

 表3を見ますと、代替ミニマム税及び税額クレジット控除前の税額プラス代替ミニマム税(AMT)、とありますが、これは何を意味するのでしょうか?

 鋭い所をついてこられましたね。これはつまり、普通に計算した税金に(もし該当すれば)代替ミニマム税(AMT)を加算した合計額が最終的な確定税額になるとということです。税務申告書ではそのように表示されています。

AMTは、富裕層が税回避などで殆んどか全く税を支払わないのを阻止するため、1969年に開始された税です。AMT課税所得ですが、次のように計算されます:通常の課税所得(表3で算出)プラス通常計算における優遇項目の調整マイナスAMT繰越し損失などマイナスAMT控除(即ち、AMTにおける標準控除)。

そして、そのAMT課税所得に対して、26%か28%のどちらかの該当する税率を掛けることにより、AMT税額が決まります。AMT課税所得が186,300ドル以下(夫婦個別申告者は93,150ドル以下)の場合は26%のAMT税率が適用され、それ以上の場合は28%のAMT税率が適用されます。

 何だかAMTもややこしそうですね。

 おっしゃる通りです。計算は該当する場合に申告書に添付するForm 6251 "Alternative Minimum Tax-Individuals" に表示されますが、つまる所は、「通常の税計算」とこの「AMT税計算」の2本立てになっていて、どちらか多額の方を支払わされる仕組みになっています。これを詳しく説明すると長くなってしまいますが、私に言わせれば、現状では連邦政府による巨大なイカサマと化しています。

 イカサマとは、聞き捨てならないお言葉ですね。

 下世話な言葉で表現してしまいましたが、1970年にはたったの2万件の税務申告に対してのみAMT税が課されただけでしたのに、2006年には350万件の申告にAMT税が課せられ、2007年には一気に2千300万件へと増加と推測されていました。このまま法律が改定されないでいると、2015年には4千万以上の申告にAMT税が課せられると予想されていました。 何故かと言いますと、過去に通常の所得税の累進税率対象金額が減税措置により下がったものの、これは通常の税についてだけの減税措置であり、AMTに関わるAMT税率やAMT調整項目、AMT控除には殆んど変更がないままです。そのため通常の税の実効税率が26%に近い中産階級の納税者がAMT税に引っかかってしまう状況が続いています。

逆に35%あるいは39.6%の実効税率で通常の税が課税される富裕層にはAMT税が殆んど課されない、という矛盾が生じています。これでは、一部の富裕層に追加の税を支払ってもらうという本来の趣旨から著しく逸脱してしまい、イカサマと表現しても良いような状態になっているのが現状です。

 政治家は何とかしてくれないのですか?

 多少の手直しはありましたが、大統領も議会も、AMT税による税収が巨大であるためうっかり廃止は出来ず、2005年に議会で廃止の法案が出たのですが、成立に至りませんでした。

2013年からそれまで固定額であったAMT控除(AMT exemption)が毎年インフレ調整されるようになりましたので、少しは緩和されることになりましたが、それでも2007年-2015年に続き2016年も膨大な税務申告がAMTの対象になるのは間違いないと思われます。

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