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2016年度:想定Q&A
IRAへの積立てが今から駆け込みで出来る節税策

 IRAは、どういうものでしょうか?

 IRAとは Individual Retirement Accountの頭文字による略称で、個人退職年金口座を指します。

勤労所得の一部をIRAとして預金すれば、その所得は引き出されるまで課税が延ばされるという税の優遇措置です。

2016年がもう終わっていても、2016年のためのIRAの積立ては2017年4月18日まで許されていますから、今から駆込みで間に合う節税策といえます。

勤労所得か5千5百ドル(2016年に50歳以上なら6千5百ドル)のどちらか少ない額迄を所得調整として使えます。 1997年からは、夫婦合算申告をするものの配偶者に勤労所得がない場合でも、配偶者は積立てを所得調整として使うことができるようになっています。

行動としては今から4月18日迄の間に銀行や証券会社へ行って「2016年のIRA」を開きたいといって積立てするだけで済みます。

 その仕組みについてもう少し説明して頂けますか?

 これは勤労所得の一部をIRAに充てると、その充てた分の所得とその後充てた拠出金が生み出す利子・配当金所得などは引出す迄は課税を延ばしてくれるという税繰り延べの措置なのです。アメリカのIRAをお手本にし、日本でも「個人型確定拠出年金」制度が数年前からありますよね。

但し、59.5歳になる以前、あるいは身体障害者になる以前に引出してしまうと、例外を除き、引出した額に課税されるばかりか早期引出しとして引出し額に対し10%の罰金が課されてしまいます。

それから、401(k)など会社の年金プランに参加している人(あるいは自分が入っていなくても配偶者が年金プランに参加している人)については、AGIの額にもよりますが、拠出額相当の所得の課税繰り延べは大抵の場合許されません。

会社に年金プランがなく長くこの国に居るつもりの方の場合、IRAはお勧めです。

米国市民あるいは永住権所有者ではない駐在員の方は、日本に帰国してしまうと、その後は米国での勤労所得がなくなってしまうので拠出は続けられませんが、帰国時に引出さないで、そのまま59.5歳以降になるまで置いておくことも考えられます。 置いてある間は拠出金が生み出す利子・配当金所得は非課税でそのまま膨らんでゆき、引出した時点で米国非居住者として、引出した金額に対する税を支払うことになります。帰国時に米国居住者から非居住者へと身分が変更しますので、拠出先の金融機関に非居住者になる旨の用紙W−8BENを提出すべきと思われます。

 拠出の所得に対する税繰り延べが許されない場合でもIRAへの拠出ができますか?

 これもグッドクェスチョンですね。

税の繰延べを伴わないでIRAに拠出することは可能です。この場合でも拠出以降に生み出す利子・配当金所得については引出すまで非課税です。

1997年の税制改革により、現在この拠出金相当の所得に対し課税されるIRAは2種類あります。

ひとつは、従来のIRA(traditional IRA)でこれは70.5歳以降は引出しが強制されます。

もうひとつは、ロスIRA(Roth IRA)と呼ばれるIRAで、提唱者の故ロス元上院議員の名前を取ったものですが、これには70.5歳以降の強制引出しがありませんし、適格引出しであれば引出した額に対する課税は免除されます。

2016年については、MAGI(調整AGI)の金額により拠出可能な上限額が決まりますが、当年非課税のIRA拠出と同じく、最高5千5百ドル(2016年に50歳以上なら6千5百ドル)の上限があります。

ロスIRAは、遺産税の観点からも大変に魅力のある自己積立年金となっています。

課税されていない従来のIRAからロスIRAへの移管(rollover)ですが、2010年以前はAGIが$10万以下の場合のみ可能という制限があったのでですが、今はその制限はありません。移管は可能ですが、移管した金額は原則として課税対象となります。

話が長くなりますが、この他「カバーデル教育貯蓄口座」(Coverdell Education Savings Accounts、旧Education IRAs)というものもあります。 これは18歳以下の子供あるいは特別のケアを必要とする個人を受益者として指定し、MAGI(調整AGI)の金額により拠出可能な上限額が決まりますが、その受益者一人あたり最高2千ドルまで拠出することが出来ます。但し、2016年については、夫婦合算申告者のMAGI(調整後AGI)が$22万ドル以上、その他申告者のMAGI(調整後AGI)が$11万ドル以上になると、拠出の資格がなくなります。

これも拠出期限はIRAと同じく4月18日までで、拠出金は控除とはなりませんが、それが生み出した利子・配当金所得は引出すまで課税されませんし、引出した時点で引出し金が大学以上の教育に使われていれば非課税です。 それから、これもIRAではありませんが、以前の「医療預金口座」(Medical Savings Account, MSA)に代わるものとして「健康預金口座」(Health Savings Account, HSA)があります。この口座が生み出す利子・配当金などの所得ですが、IRAと同じく非課税となっています。

この口座へは雇用者から拠出するのが建前ですが、自分からも拠出した場合その拠出部分については所得調整項目として控除できることになっています。

これも拠出期限はIRAと同じく4月18日までで、自己だけをカバーするHDHP(high-deductible health plan高額自己負担健康プラン)ならば、2016年については、最高3,350ドル、家族をカバーするHDHPならば最高6,750ドル、まで拠出できます。

 たくさんのIRAがあるんですね。

 チョイスが増えていますが、複雑ですね。

 さて、次に自己負担部分転勤費用というのがありますが、これは私にも該当しますね。  転勤費用が認められるためには、まず50マイル・テストに合格する必要があります。 これは、「新たな職場」と「以前住んでいた住居」との間の距離が、「元の職場」と「以前住んでいた住居」との間の距離よりも50マイル以上離れていることが必要です。

よくある質問ですが、職場の所在地は変わらずに、自分だけが動いた「引越し」は該当しません。

Qさんは遠い日本からの転勤ですから、このテストは合格ですね。

それから、費用も「家族も含めた旅費」及び「運送費」の自己負担部分だけが控除対象費用になります。但し、旅費のうち食事代は対象外です。

 会社が負担してくれた転勤費用はどうなりますか?

それから、今度は逆に日本への帰国の場合の転勤費用はどうなりますか?

 最初のご質問ですが、先程申し上げた「旅費」と「運送費」の会社負担払いについては、本人の転勤費用とはなりませんが、本人の所得としてあげる必要もありません。

次のご質問ですが、アメリカ市民あるいは永住権所有者には、米国から外国への転勤費用が認められますが、それ以外の人については米国から外国への転勤費用は認められません。これは米国の課税から離れる転勤(つまり転勤後は米国への税務申告をしなくなる)なので、その費用が認められないのです。

 次に行きまして、標準控除か個別控除かどちらか大きい方とありますが、これはどういうことですか?

 連邦政府は各納税者に対し、何もなくても引ける最低の概算経費として「標準控除」を与えてくれていて、実際に引ける経費である個別控除と比べてどちらか多い方をAGIから控除出来る訳です。

2016年の標準控除は、独身者に6,300ドル、夫婦合算申告者・寡婦(夫)に12,600ドル、独身世帯主に9,300ドル、夫婦個別申告者に6,300ドル、となっています。「65歳以上」あるいは「盲人」である場合は標準控除は更に増額(夫婦合算申告者・寡婦(夫)及び夫婦個別申告者に1,250ドル、独身者及び独身世帯主に1,550ドル、を加算)されます。 他方、「個別控除」としては表3にある該当要素を合計して計算しますが、これはスケジュールA(Schedule A)という別表に記載し、Form 1040に添付することになります。

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