星野会計事務所
税務ニュースレター
No. 16-1 January 30, 2016
外国個人・法人による米国不動産売却に伴う連邦源泉税(FIRPTA税)が2016年2月16日から従来の10%から15%に増加
米国非居住者・外国法人が米国に存在する不動産を売却する場合、売却から20日の間に連邦政府IRSに納税することが義務付けられています。この源泉徴収税はその元となる法Foreign Investment in Real Property Tax Act of 1980の頭文字を取り、通称 FIRPTA税と呼ばれています。
源泉税徴収及び支払い義務は購入者あるいはその代理人に課されており、従来は売値Selling Price(購入者から見れば買値Purchase Price)に対して10%の金額を源泉税としてIRSへ支払うことが原則になっていました。(但し、売値が$30万以下の場合は免除。) これが昨年10月15日に議会を通過したProtecting Americans from Tax Hikes Act of 2015 (通称、PATH法) により、2016年2月16日以後の売却につき税率が15%に引き上げられました。
但し、例外があり、購入者が購入者の主たる住居 (つまり賃貸ではないし、セカンドハウスでもない) として使用する、及び売値が$100万を超過しない場合、源泉税率は10%に据え置くとしています。以上をまとめると以下のどれかに該当することになります。
A.購入不動産を購入者の主たる住居として使用する*場合で、かつ
■ 売値が$30万以下である場合、源泉税は引続き免除となる。
■ 売値が$30万超であるものの$100万以下である場合、源泉税率は10%となる。
■ 売値が$100万超である場合、源泉税率は15%となる。
B. 購入不動産を購入者の主たる住居として使用しない場合、源泉税率は一律15%となる。
注記:*売却(購入)後2年の間に毎年少なくとも50%以上(つまり半年以上)は購入者が自分の主たる住居として使用することが必要である。また購入者はその旨の宣誓書Affidavitに署名することが必要となると思われる。
今回の税率増加はあくまでも源泉税の税率引上げに過ぎず、売却した米国非居住者は連邦非居住者税務申告書Form 1040NR(外国法人の場合はForm 1120-F)で売却を申告することが義務付けられているのは以前と変更ありません。源泉税が確定する連邦税を超過していれば税還付を申請し、その逆に確定する連邦税が源泉税を超過していれば追加税の支払いをすることになります。(州税についても物件の所在する州の非居住者申告書で売却を申告することになります。)
また、売却損失により無税あるいは少額の源泉税が予想される場合には、源泉徴収免除・減額を申請するForm 8288-BをIRSに提出し、IRSから承諾のCertificateを得れば源泉徴収は免除・減額となりますが、この規則は以前と変更がありません。
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