解雇従業員のCOBRA健康保険料への65%補助、この3月から開始 -雇用者はそのための準備を開始する必要あり-
投稿日時:  2月 28日, 2009

このニュースレターは当事務所が独自に選択したトピックをカバーしておりますが、必ずしも細部には及んでおりませんし、当事務所の意見書としては意図しておりません事をご了承下さい。
2月17日にオバマ大統領が署名した「米国復興再投資法」( American Recovery and Reinvestment Act、通称「経済刺激法」Economic Stimulus Act )には景気刺激を促す税法措置が盛り込まれている。
解雇により失業した元従業員はCOBRA制度(1985年に法となったConsolidated Omnibus Budget Reconciliation Act、従業員20名以上の雇用者は退職従業員に最大18ヶ月までの健康保険継続の選択を義務づけている)により元雇用者のもとで参加していた健康保険を継続する選択があるものの、保険料支払いは全額自己負担であるため、選択を途中で止めてしまう或いは選択ができず無保険に陥ってしまうことが以前から社会問題になっていたが、同法では失業した元従業員がCOBRA制度により健康保険を続ける場合、この3月から保険料の65%について9ヶ月間連邦政府が補助をするという救済措置が盛り込まれている。
この補助は直接元従業員が受取るのではなく、元雇用者を通して与えられるものであるため、元雇用者としては迅速に対応することが必要となる。
補助の対象となるのは、2008年9月1日から2009年12月31日の間に「非自主的に解雇」(involuntarily terminated)され、かつCOBRA制度により健康保険を継続している元従業員が適格となる。
但し、業務過失などの理由で解雇された元従業員、自分の都合で退職した元従業員は不適格となる。
また、修正調整後総所得(modified adjusted gross income)が夫婦合算申告で$25万以上またはその他申告で$12万5千以上の所得があると制限を受け始め、前者が$29万以上、後者が$14万5千以上になると補助が全く受けられなくなる。
補助はこの2009年3月1日から開始し最高9ヶ月間の期間となるが、元従業員が連邦政府のメディケア保険あるいは新雇用者の提供する健康保険に入る資格ができた場合は打ち切りとなる。
補助金額は健康保険料の65%が対象となるので、元従業員は残りの35%を支払えば良いこととなる。
しかし、実際には65%の補助は元従業員に対して渡される訳ではなく、この65%の部分は元雇用者が一旦は負担し、元雇用者の連邦給与関連税に対するクレジット、つまり既払い給与関連税として与えられる仕組みになっている。
補助は一般的には受取り人にとっては所得となるが、適格であれば元従業員にとって課税所得として扱われることはない。
既に2008年9月1日から2009年2月17日の間に解雇されCOBRA制度による健康保険維持の選択をしている元従業員に対し、元雇用者はこの3月からの補助について報告することが必要になる。
また、健康保険維持の選択をしなかった、あるは選択をしたものの2009年2月17日以前に保険を中止してしまった元従業員に対し、35%の減額負担によるCOBRA健康保険へ再加入の案内を元雇用者は元従業員に出す必要がある。
この再加入の選択についての元従業員への案内は2月17日から60日以内、つまり4月17日までにしなければならない。
他方、再加入は2009年3月1日以降であり、過去に遡って加入したとすることは許されていないし、補助の期間が最高9ヶ月間から更に延長されることはない。
雇用者としては、
(1)該当する元従業員がいるか否かの確認
(2)プラン・アドミニストレーター(plan administrator、一般には保険会社)及び内部・外部の給与計算者との打合わせ
(3)従業員に対するCOBRA制度の変更
などを早急に開始する必要がある。

ここでの説明は大枠であり、具体的には様々な状況が予想されるので、福利厚生の専門家などとの相談が更に望まれる。